科学が進んだ今でも、私たちはなぜ星に惹かれるのでしょう。形や距離を超えて、心に届くあの光… それは、データや理論では語りきれない、感じるものなのかもしれません。オリオン座は、神話の中だけでなく、いまもなお宇宙開発や音楽、文学などの文化の中で生き続けています。人類が宇宙を旅する未来にも、きっとこの三ツ星は、夜空に変わらぬ「道しるべ」として輝き続けるでしょう。

第15話 オリオン―僕たちの心と星

糸島の海辺にひっそりと開くカフェに、星と神話を愛する瑠菜(ルナ)教授がやってきました。子どもたちのまっすぐな質問に、やさしく、答えてくれる物語です。星や月を見上げながら「宇宙ってなんだろう?」を一緒に考えてみませんか…

レンくん 01
レンくん

どうして、ぼくら星を見ちゃうんだろうね?

ソラちゃん 01
ソラちゃん

オリオン✨ってさ、いまも人気あるよね?

ルナさん 01
ルナさん

いい質問ね。オリオン座は…

星座のなかでも形がはっきりしていて、とても見つけやすいの。三ツ星が一直線に並んでいるのは目立つし、両肩のベテルギウスとリゲルの色のコントラストもとても印象的よね。だからこそ、古代から現代まで、たくさんの人の心を惹きつけてきたのよ。

いまもオリオン座の名前は、宇宙探査機やロケット、映画や小説、音楽のタイトルにも使われているの。たとえばNASAの『オリオン宇宙船』は、未来の月や火星探査を見据えた、人類の新しい一歩を担う計画の中心なの。オリオンという名前には、冒険・強さ・希望といったイメージが重ねられていて、それが今でも世界中の人々の想像力を支えているのよ。

つまり、オリオン座は昔の物語だけじゃなくて、未来を描くシンボルとしても生き続けているの。
空の上で光りながら、地上の文化にも息づいているなんて、すてきだと思わない?

夜空に浮かぶ三ツ星は道しるべ

ひかりちゃん 01
ひかりちゃん

星って、昔の人のものじゃなくて、いまも生きてるんだね。✨

レンくん 01
レンくん

ぼくらも、星の物語の中にいるってこと?

ルナさん 01
ルナさん

そう、星はいつだって、いまの私たちに語りかけてくれるのよ。

科学がどれだけ進んでも、空を見て何かを感じる気持ちは、ずっと変わらない。星を見つけた子ども、名前をつけた人、神話を語った祖先…。それぞれの時代の人たちが、同じ空の下で心を動かされてきた。そしていま、その想いは、あなたたちの中にも息づいているのよ。

しんのすけ 01
しんのすけ

星って、ニャにもしゃべらんけど、すごく語ってる気がするにゃ。

あゆむ 01
あゆむさん

うふふ… きっと、星って、黙ってる詩人なのよ。見上げる人の心にだけ、そっと語るの。

ルナさん 01
ルナさん

星を見上げるという行為は、とても個人的で…

でも世界中の人が共有していること。それぞれの場所で、それぞれの想いを抱えながら、同じ空を見上げている…。そのこと自体が、奇跡のようだと思わない?オリオン座は、昔もいまも、これからも…。いつの時代も、物語をつなぎ、心を照らし続ける空の戦士。強く、美しく、でもどこか哀しみを秘めたその姿に、人は何かを重ねたくなるのよ。

夜空に浮かぶ三ツ星は、過去と現在、そして未来をつなぐ「道しるべ」でもあるの。あなたが今日見上げたその光も、きっとどこかで誰かの心と響き合っているわ。だから、星を見上げることは、いつだってひとりぼっちじゃないという証でもあるのよ。

その夜、レンくんたちは誰ともなく空を見上げた。空高く、三ツ星がまっすぐに光っていた。

宇宙の不思議を子どもと楽しむ物語

国立天文台(NAO):https://www.nao.ac.jp/

オリオン座を見つける2つのポイント

レンくん 01
レンくん
  • 冬の夜空で、まっすぐ横に並んだ三つの明るい星を探してみて。これが「オリオンの帯」と呼ばれる、オリオン座の中心部分です。
  • 三ツ星の左上に赤い「ベテルギウス」、右下に青白い「リゲル」が光っています。この2つの色の違う星を結ぶとオリオン座が見えてきます。