皆様、こんにちは。突然ではございますが、空を見上げ「今日の天気はどのように推移するのだろうか…」と考えられたことはございませんか。私たちの日常生活に大きな影響を与える天気ですが、天気図に示されるその仕組みは意外にも知られていないものです。本稿では、皆様に天気をより身近に感じ、ご理解いただけるよう、その奥深い世界を共に探求してまいりましょう。

天気予報:天気図を読み解こう

天気予報を見ていると、カラフルな線や記号がたくさん書かれた「天気図」がよく出てきますよね。なんだか難しそうに見えますが、実は天気図は、私たちが日々の天気を理解するためのとっても便利な指針なんです。加えて、天気図には、その日の気圧配置や前線の位置、等圧線の間隔など、天気を予測する上で重要な情報がギュッと詰まっています。

天気図の主役:等圧線

天気図をパッと見たときに、たくさん引かれているのが「等圧線」です。これは、気圧が同じ場所を結んだ線で、高気圧や低気圧の存在、そして風の強さや向きを示しています。そして、等圧線は、おおよそ4ヘクトパスカル(hPa)ごとに引かれています。数字が大きいほど気圧が高く、小さいほど気圧が低いことを示します。等圧線の間隔が狭いほど、気圧の傾きが急で風が強く、広ければ風は穏やかになります。

風は等圧線に沿って吹く?

風は、気圧の高い方から低い方へと吹く性質があります。しかし、地球が自転しているため、「コリオリの力」という見えない力が働き、風は等圧線に対して直角に吹くのではなく、やや斜めに、そして北半球では高気圧の周りを時計回りに、低気圧の周りを反時計回りに吹くのが特徴です。これを頭に入れておくと、天気図からおおよその風向きを予測できるようになります。

天気予報:天気図を読み解こう

天気図に現れる前線

天気図には、温帯低気圧に伴って「前線」が描かれています。前線とは、性質の異なる2つの空気の塊(気団)がぶつかり合う境界線のことです。天気予報でよく聞く「温暖前線」「寒冷前線」「閉塞前線」「停滞前線」などがあります。前線が近づいてくると天気が変化する兆候なので、天気図で前線の動きをチェックすることは非常に重要です。

温暖前線

暖かい空気が冷たい空気の上を這い上がっていくことで形成されます。ゆっくりと天気が崩れ、雨がしとしとと降り続くことが多いです。通過後には気温が上昇し暖かくなります。

(赤い半円の記号)

温暖前線
寒冷前線

冷たい空気が暖かい空気の下に潜り込むように進むことで形成されます。積乱雲が発達しやすく、急に強い雨や雷雨に見舞われることがあります。通過後には気温が急激に下がり寒くなります。

(青い三角形の記号)

寒冷前線
閉塞前線

寒冷前線が温暖前線に追いつき、暖かい空気が地上から持ち上げられてできる前線です。発達した低気圧の終末期に見られます。

(赤と青の記号が交互に並ぶ)

閉塞前線
停滞前線

勢力の拮抗した暖かい空気と冷たい空気がぶつかり合い、ほとんど動かない前線です。梅雨前線などがこれにあたり、長期間にわたって同じ地域に雨を降らせることがあります。

(赤と青の記号が交互に同じ側を向く)

停滞前線

天気の主役「高気圧」と「低気圧」

天気図を読む上で、最も重要なのが「高気圧」と「低気圧」です。これらは大気の圧力の違いによって生じるもので、私たちの天気に大きな影響を与えます。

天気をもたらす「高気圧」

高気圧とは、周囲よりも気圧が高い領域のことです。高気圧の中心では、上空から空気が下降しています。下降する空気は圧縮されて温度が上昇し、水分が蒸発するため、雲ができにくくなります。そのため、高気圧に覆われると、一般的に晴れて穏やかな天気が続きます。

天気予報で「太平洋高気圧に覆われて…」といった言葉を聞くことがありますが、これはまさに、高気圧がもたらす晴天を表しています。夏の暑い日に青空が広がるのは、この太平洋高気圧が日本列島に張り出しているためです。

天気を崩す「低気圧」

一方、低気圧とは、周囲よりも気圧が低い領域のことです。低気圧の中心では、周囲から空気が吹き込み、それが上空に向かって上昇していきます。上昇する空気は膨張して温度が下がり、含まれる水蒸気が凝結して雲ができやすくなります。そのため、低気圧が接近したり、その中心が通ったりすると、曇りや雨、風の強い荒れた天気になりやすいのが特徴です。

冬に日本海側で雪が降ることが多いのは、日本海上で発生する低気圧の影響を強く受けるためです。また、発達した低気圧は「爆弾低気圧」と呼ばれ、非常に強い風と大雨をもたらすことがあります。

まとめ:天気図と空気の主役たち 前編

高気圧と低気圧、そして前線。これらはすべて、地球を取り巻く空気の動きによって生じる現象です。空気は常に動き回り、時には穏やかに、時には激しく、様々な天気の「音楽」を奏でています。天気図は、その空気の動きを目に見える形にした「スコア」のようなものと言えるでしょう。

この前編では、天気図の基本的な見方と、天気のもととなる高気圧・低気圧についてご紹介しました。天気図が読めるようになると、日々の天気予報がもっと面白く、そして深く理解できるようになります。

次回の後編では、地球規模の空気の流れである「海流」や、私たちの生活に大きな影響を与える「台風」がどのように発生し、進んでいくのか、さらに詳しく探っていきたいと思います。

まとめ:天気図と空気の主役たち 前編

国土交通省 気象庁